求むれば逃ぐるものかな愛はいさ 身を浸してこそ味わえよ君
照滴005
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求むれば逃ぐるものかな愛はいさ 身を浸してこそ味わえよ君
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要点
愛は追いかけるほど逃げ、身を浸して味わうことで理解できることを示す。 現代語訳
愛を積極的に求めれば逃げてしまうものだ。身を浸してこそ、その愛を深く味わえるのだ、君よ。 注釈
身を浸して:全身で体験する、感情や状況に没入する。全てを懸けてその中に入り込み、無心になることで初めて。 解説
愛の本質は追求よりも体験にあり、どこかに能動的に求めるのではなく、そこに身を置くことで初めて味わうことができるという教訓を示す表現。心理的洞察と感覚的描写が重なる短歌。 深掘り_嵯峨
滴塵009(探すから見つからない)のテーマを「愛」に適用した歌です。愛は掴もうとすればするほど逃げていくという、執着の限界を示しています。 「愛」を真に得るためには、理性的な「求める」行為を捨て、「身を浸す」という没我的な受容の姿勢が必要だ、と説いています。これは、「無心」になって「あるがまま」を受け入れるという禅や密教の教えにも通じており、愛の成就が悟りの境地に近いことを示唆しています。